システム移行とは?手順や失敗しないための注意点を分かりやすく紹介
「システム移行計画書に書くべきことは?」
「システム移行で失敗しないための対策とは?」
という疑問をお持ちではありませんか?
本記事では、上記のような疑問の解決に役立つ内容を
・システム移行が必要になるタイミングや移行パターン
・システム移行をする際の手順や注意点
・外部にシステム移行を委託するメリット
の順番に解説していきます。
システム移行に初めて挑戦する方に役立つ記事になっています。
おすすめの委託先も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
また、当社では2025年の11月12日(水)に「システムの引き継ぎに失敗しないための本」を出版します。
長年の経験から体系化したシステム引継ぎのノウハウや、システム移行にも役立つ情報が載っているためぜひ参考にしてみてください。
目次
システム移行とは?
システム移行とは、「現行システムから新しいシステムに置き換える作業」のことです。
例えば、オンプレミス型からクラウド型に移行したり、新しいオンプレミス型にシステム更新したりする作業が該当します。
OSやミドルウェアのサポートが終了したとき、セキュリティ対策を強化するときなど、システム移行が必要になるタイミングはさまざまです。
システム移行とデータ移管の違いで困惑する人も多いですが、データ移管がデータベースにあるデータを移す作業であるのに対し、システム移行はサーバやネットワークを移す作業を指します。
システム切替との違い
| 項目 | システム移行 | システム切替 |
|---|---|---|
| 対象範囲 | 計画から準備、実行、運用開始までの一連のプロジェクト全体 | 新旧システムを入れ替える、特定のタイミングで行われる作業・イベント |
| 目的 | システムの刷新、クラウド化、老朽化対策など、経営課題の解決 など | 移行プロジェクトの最終段階で、本番環境を新システムで稼働させること |
システム切替は、システム移行のプロセスの一部と位置づけられます。
システム移行が、計画策定から新システムの稼働・定着までを含む広範囲なプロジェクト全体を指すのに対し、システム切替は、そのプロジェクトの最終局面で行われる「新システムを本番稼働させるための具体的な作業」を指します。
システム移行の最終ゴールが、システム切替と言えるでしょう。
データ移行との違い
| 項目 | システム移行 | データ移行 |
|---|---|---|
| 対象 | システムを構成する全要素(インフラ、OS、アプリケーション、データ等) | データベースやファイルに格納されている「データ」そのもの |
| 目的 | システム基盤全体を刷新し、業務プロセスを改善すること | 旧システムのデータを、新システムの仕様に合わせて移し、利用可能にすること |
システム移行とは、インフラやアプリケーションを含むシステム基盤全体を新しい環境へ移す活動全般を指します。
一方で、データ移行は、そのシステム移行のプロセスの中で実施される、旧システムに蓄積された顧客情報や取引履歴といった「データ」に特化した作業のことです。
質の高いシステム移行を実現するためには、アプリケーションの移行だけでなく、このデータ移行をいかに正確かつ効率的に行うかが重要となります。
システム移行が必要になるとき
先ほどシステム移行が必要になるタイミングはさまざまであると説明しました。
それでは、具体的にどのようなタイミングでシステム移行が必要になるのでしょうか?
システムが統合されるとき
複数のシステムを統合する際は、システム移行が必要になります。
近年は、企業合併によるシステム統合が必要なケースが多く見られるようになりました。
それぞれの企業で導入していたシステムを一つのシステムに統合するケースなどです。
日本におけるM&Aの動きは増加傾向にあるため、今後もM&Aによるシステム統合でシステム移行が必要になる企業が増えていくことが予想されます。
サーバー・OSのサポートが終了するとき
システム移行が必要なタイミングとして、サーバー・OSのサポートが終了するときが挙げられるでしょう。
古いバージョンのサーバー・OSを使用しており、開発元のサポートを受けられない状態です。
サポートを受けられないと、トラブルが発生した際も問い合わせをすることができなくなります。
そのため、サーバー・OSのサポート期限をしっかりと把握し、期限内に新しいサーバー・OSに移行する必要があるのです。
システムが老朽化したとき
システムが老朽化したときも、システム移行が必要なタイミングのひとつです。
古いシステムを使用していると、他のシステムとの連携ができなかったり、業務をスムーズに遂行できなかったりする可能性があります。
このような状態は、企業のDX推進の大きな足かせとなり、市場の変化への対応を遅らせる要因にもなります。
以上のことから競争力を保つためにも、システム移行の重要性が高まっています。
システム移行のパターン
システム移行は大きく「オンプレミス型→オンプレミス型」と「オンプレミス型→クラウド型」の2パターンに分けられます。
それぞれのパターンについて確認していきましょう。
オンプレミスからオンプレミスにシステム更新をする
オンプレミス型とは、IT機器やリソースを社内で構築し、インターネットを介さずに自社で運用するシステムのことです。
自社システムと連携しやすいだけでなく、強固なセキュリティを構築できることから、オンプレミス型を採用している企業も少なくありません。
オンプレミスからオンプレミスにシステム更新をする場合、自社システムと連携しやすいですが、多額のコストがかかる点が懸念されます。
オンプレミスからクラウドに移行する
近年は、オンプレミス型からクラウド型に移行する企業も増加しています。
クラウド型の方がコストを抑えられるだけでなく、保守管理をサービス会社に委託できるためです。
さらに、クラウドに移行する際は時間を要さないため、スピーディーに移行作業を完了させることができます。
しかし、クラウド型に移行する際はセキュリティリスクや、既存システムと連携できない可能性に注意する必要があります。
システム移行の主な方式
システム移行の方式は「一括移行」、「段階的移行」、「並行運用」の3種類に分けることができます。
| 移行方式 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 一括移行 | ・移行期間が短く、コストを抑えやすい ・システム構成がシンプル |
・長期間のシステム停止が必要 ・移行時に問題が発生すると影響が大きい |
| 段階的移行 | ・システム停止時間を最小限にできる ・トラブル発生時の影響範囲を限定できる |
・移行プロジェクトが長期化しやすい ・全体のコストが高くなる傾向がある |
| 並行運用 | ・新旧システムを比較でき、安全性が高い ・問題発生時も業務を継続しやすい |
・二重の運用コストと手間がかかる ・データ整合性の管理が複雑になる |
以下で、それぞれの方式のメリット・デメリットを解説します。
一括移行
一括移行とは、現行システムを停止し、新しいシステムに一気に移行する方式のことです。
ゴールデンウィークや年末などの長期休みの際に、システム移行の作業を集中的に行う企業も少なくありません。
作業が一度に済むため、手間やコストを抑えられる点がメリットです。
まとまった時間が必要になる点が懸念されますが、前のシステムを残した状態で移行作業ができるため、移行作業に失敗した場合も安心です。
段階的移行
段階的移行とは、部分的にシステムを移していく方式のことです。
長期間システムを停止できないケースに向いています。
システム移行時に発生するトラブルも一部で済ませられる点がメリットでしょう。
しかし、移行作業が長期化しやすいだけでなく、その分コストも高くなりやすいです。
並行運用
並行運用とは、一定期間新しいシステムと旧システムを並行して運用する方式のことです。
新しいシステムに問題がないかを確認した上で、旧システムを停止できる点がメリットと言えます。
できるだけリスクを抑えたい、システムを停止したくないといった場合に、並行運用の方式が最適です。
しかし、2つのシステムを運用する必要があり、手間やコストがかかる点はデメリットと言えるでしょう。
システム移行をする際の手順。各タスクやリスク一覧を紹介
以下で、システム移行をする際の手順を紹介します。
システム移行は、大きく下記の4つの段階に分けられます。
- ・計画段階
- ・準備段階
- ・移行段階
- ・運用段階
それぞれの段階について解説します。
計画段階
現状分析
まずは現行システムを調査するところからスタートします。
具体的には、システムの仕様書はあるか、データやファイルの形式は何か、バックアップデータは取れているかなどを確認していきます。
現状分析を行うためには、現行システムに詳しいメンバーの存在が必須です。
問題点などもリストアップすることで、より良いシステムへと改善できます。
場合によっては、ツールを使用して現行システムを調査することもあるようです。
移行計画書の策定
現状分析が完了した後は、移行計画書を作成しましょう。
移行計画書とは、システム移行の基本方針やスケジュール、メンバーのタスクなどをまとめたものです。
移行計画書を策定しておくことで、メンバー間で共通認識を持ちやすくなりますし、スケジュール調整の目安にもなります。
特にスケジュールに関しては、システム移行の作業が遅れてしまうと業務に影響が及ぶ可能性があるので、しっかりと記載しておくことが大切です。
計画段階で想定されるリスク
計画段階で最も警戒すべきリスクは、現状分析の甘さから生じる要件定義の漏れと、関係者間の認識齟齬です。
長年運用されてきたシステムには、ドキュメント化されていない仕様や、特定の担当者しか知らない業務プロセスが潜んでいることが少なくありません。
これらの「見えない資産」を見落としたまま計画を進めると、後工程で大規模な手戻りが発生し、予算とスケジュールの破綻に直結します。
また、移行の目的やゴールについて、経営層、情報システム部門、現場の業務部門の間で合意が形成されていない場合、プロジェクトが迷走する原因となります。
初期段階での緻密な調査と、徹底したコミュニケーションが重要です。
準備段階
移行環境の準備
システム移行の計画がまとまったら、続いては移行に向けて準備に取り掛かります。
まずは、移行環境を整えていくことが大切です。
具体的には、移行先システムのインストールや設定、ネットワーク設定、セキュリティ対策の確認などを行います。
上記の設定が十分に行えていないと、システム移行時に問題が発生してしまうため、注意が必要です。
移行リハーサルの実施
移行環境を調整した後は、移行リハーサルを実施しましょう。
移行リハーサルでは、どのような手順で作業を進めるのかを確認します。
移行作業のイメージを固めておくことで、スムーズに作業を進められるだけでなく、どのようなリスクが起こり得るかを想定しやすくなります。
準備段階で想定されるリスク
準備段階では、移行リハーサルの形骸化が大きなリスクとなります。
本番と同様の環境やデータ量で、現実的なシナリオに基づいたリハーサルが実施されなければ、潜在的な課題を発見することはできません。
例えば、テスト用の少量データでは問題なく完了したデータ移行の処理が、本番の大量データでは想定を大幅に超える時間を要し、計画したシステム停止時間内に作業が終わらないといった事態です。
また、万が一の事態に備えた「切り戻し計画」の検証が不十分な場合、本番移行で問題が発生した際に迅速に旧システムへ復旧できず、業務停止時間が長引くという最悪のケースも想定されます。
移行段階
移行作業の実施
移行リハーサルを複数回実施した後は、いよいよ移行作業に取り掛かります。
移行作業を開始する前に、移行計画書を再確認したり、トラブル発生時の連絡先を確認したりすることが大切です。
移行リハーサルがしっかりとできていれば、移行作業も安心して進められます。
作業ログを記録しながら、複数人で作業を進めるようにしましょう。
新システムのテスト
移行作業を完了した後は、新システムのテストを実施します。
例えば、新システムを使って1日の業務運用サイクルをチェックし、正常に業務が進行できるかを確認します。
通常の機能に加えて、負荷がかかった際の動作やリソースの使用状況、トラブル発生時の対応もテストする必要があります。
また、移行したデータに不備がないかも確認することが重要です。
特に、データが完全に移行されていないと大きな問題が生じるため、独自のスクリプトを作成して確認する準備をしておくことが大切です。
移行段階で想定されるリスク
移行段階では、どれだけ周到に準備しても予期せぬトラブルが発生するリスクが常に伴います。
リハーサルでは顕在化しなかったハードウェアの不具合や、特定のデータパターンに起因するアプリケーションのエラーなどが、本番環境で初めて発覚するケースは珍しくありません。
こうした想定外の事態が発生した際、作業の遅延がシステム停止時間の超過に繋がり、事業活動へ直接的な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、移行するデータそのものに欠損や不整合が生じるリスクも無視できません。
移行作業中の正確なログ取得と、迅速な意思決定を可能にするための明確な報告体制を確立しておくことが極めて重要です。
運用段階
移行作業が終了したら、システム移行が完了する訳ではありません。
システム移行では、「新システムをしっかりと運用できているか」という点までを確認する必要があります。
システムの運用担当者に重要事項を引き継ぎましょう。
独自のスクリプトを作成するなどして、後から見返せるようにしておくと便利です。
運用段階で想定されるリスク
無事に新システムが稼働した後も、運用段階特有のリスクが存在します。
その代表例が、実業務の負荷に耐えられない性能に関する問題です。
多くの利用者が一斉にアクセスする時間帯に応答速度が著しく低下し、業務効率を大きく損なうことがあります。
また、新システムの操作に現場担当者が習熟していないために、問い合わせがヘルプデスクに殺到し、本来の業務が滞るケースも少なくありません。
さらに、移行直後は安定しているように見えても、月末処理のような特定のタイミングでしか使われない機能に潜んでいた不具合が後から発覚するケースもあります。
このようなことから稼働後の安定運用を見据えた、十分な教育と手厚い保守体制の構築が必要です。
システム移行に失敗しないための注意点
システム移行で失敗しないための注意点には、下記のような注意点が挙げられます。
- ・データの移行漏れに注意する
- ・移行計画書を詳細に作成する
- ・事前に運用担当者に教育を行う
データの移行漏れに注意する
システム移行時は、データの移行漏れに注意することが大切です。
移行リハーサルの際は問題が生じなかったとしても、データの移行漏れが起きる可能性があります。
移行計画の段階で、データ漏れが起きないように業務現場の担当者と密にコミュニケーションを取りましょう。
移行データの要件定義を行っておくことで、漏れを防ぐことができます。
移行計画書を詳細に作成する
移行計画書は、重要事項をリストアップしただけでは意味が薄れてしまいます。
詳細情報までしっかりと記載して、メンバーが確認しやすいような構成を目指すことが重要です。
基本的には、基本方針や移行目的、移行方式、スケジュール、メンバーのタスクなどを記載します。
必要な情報があったら、随時アップデートしましょう。
事前に運用担当者に教育を行う
新システムに移行するに当たって、現場担当者に教育を行っておきましょう。
システムが移行してから教育するとなると、スムーズな運用を実現するまでに時間がかかってしまいます。
システムに関する重要事項に関しては、ドキュメントなどに記しておくと安心です。
システム移行が不安なときは外部へ委託しましょう
ここまで、システム移行について手順や注意点を解説しましたが、中にはまだまだ不安な人もいるのではないでしょうか?
そんな時は、システム移行を外部の専門業者に依頼することをおすすめします。
システム移行を外部に委託するメリット
システム移行を外部に委託すると次のようなメリットがあります。
- ・安心感:プロに任せることで、安心して移行を進められます。
- ・確実な実行:スケジュールや内容を確実に実行してくれます。
- ・業務集中:社内処理や関係部署との調整に集中でき、結果としてスムーズな移行を実現できます。
特に、初めてのシステム移行でトラブルが発生した場合、社内での対応が難しいことがあります。
安全にシステムを移行させるためにも、プロに委託することを強くおすすめします。
フェアシステムに外部委託するメリット
フェアシステムは、リピート率80%以上を誇る信頼のシステム開発会社です。
これまで数多くのシステム移行に対応してきた実績があるため、あらゆるシステムに対する知見やノウハウがあり、対象のシステムも問題なく移行することができます。
- ・豊富な経験:多種多様なシステムに対応してきた実績があります。
- ・予定通りの進行:予定調和を重視し、計画通りのシステム移行を実現します。
- ・高い顧客満足度:リピート率80%以上の実績が示す通り、多くのお客様に満足いただいています。
システム移行を検討している人は、ぜひフェアシステムにお問い合わせ下さい。
まとめ
今回の記事では、システム移行を検討している企業の担当者に向けて、システム移行の基本的な知識を解説しました。
システム移行で失敗しないためには、事前準備や計画が重要です。
トラブルが発生した際もスムーズに対応できるように、あらかじめリスクを想定しておくことをおすすめします。
安全かつスムーズにシステム移行を完了させたい人は、外部への委託も検討しましょう。
フェアシステムは、システム引継ぎや開発、運用などを手掛ける会社です。
ぜひ一度お気軽にお問合せください。
