オフショア開発が失敗する理由は?うまくいかない事例や解決策

コスト削減と開発リソースの確保を目的に、オフショア開発を導入したものの下記のような課題に直面してる方も多いのではないでしょうか。

「コミュニケーションがうまくいかない」
「期待した品質の成果物が上がってこない」
「納期遅延が常態化している」


そこで本記事では、オフショア開発でよくある失敗事例とその根本にある原因を解説し、現状を打破するための具体的な解決策をご紹介します。

すでにオフショア開発で課題を抱えている企業担当者の方に、改善のヒントをお届けします。

また、当社では2025年の11月12日(水)に「システムの引き継ぎに失敗しないための本」を出版します。

長年の経験から体系化したシステム引継ぎのノウハウや、オフショア開発からシステムを引継ぐ場合にも役立つ情報が載っているためぜひ参考にしてみてください。

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本当に使えない?オフショア開発がうまくいかない失敗事例

オフショア開発において「使えない」と感じる背景には、さまざまな失敗パターンが存在します。

ここでは、実際に企業が直面することの多い代表的な失敗事例を見ていきましょう。

意図しない違う仕様で納品される

オフショア開発がうまくいかない事例として、要件定義書にもとづいて開発を依頼したにもかかわらず、成果物が期待していた仕様と大きく異なるというケースが挙げられます。

例えば、Webアプリケーションの検索機能について「部分一致での検索」を想定していたところ、完全一致での検索で実装されてしまうといった事例があります。

この問題が発生する原因として、日本側の仕様書に記載された内容が抽象的過ぎたり、暗黙の前提条件が共有されていなかったりすることが挙げられます。

日本では「これくらいは当然わかるだろう」という文化的な前提が通用しても、海外の開発チームにはその前提が伝わりません。

結果として、認識のズレが生じ、手戻りと追加コストが発生してしまいます。

低品質の成果物が納品される

オフショア開発がうまくいかない事例として、低品質な成果物が納品される場合があります。

低品質の成果物の例としては、コードの品質が低い、バグが多発する、動作が不安定、保守性が悪いといった問題が挙げられます。

このような品質の問題は、オフショア先の開発会社の技術力が不足していたり、品質管理体制が不十分であったりすることが原因です。

特にコストを最優先してベンダーを選定した場合、経験の浅いエンジニアがアサインされたり、コードレビューやテスト工程が省略されたりすることで、品質の低い成果物が納品されてしまうことがあります。

プロジェクトが上手く進まず炎上する

オフショア開発がうまくいかない事例として、プロジェクトが炎上し上手く進まない場合が挙げられます。

当初の計画から大幅に遅れ、予算も超過し、チーム内の関係性も悪化してプロジェクト全体が炎上状態に陥るケースです。

納期が何度も延期され、日本側のエンジニアが深夜まで対応を迫られる、品質問題の修正に追われて新規開発が進まないといった状況に陥ります。

プロジェクト炎上の背景には、進捗管理の甘さ、コミュニケーション不足、役割分担の曖昧さなど、複合的な問題が存在します。

特に報告・連絡・相談の文化が浸透していない場合、問題が表面化した時にはすでに手遅れになっているケースが多く見られます。

情報漏洩が発生する

開発を委託した現地のセキュリティが甘く、ソースコードの一部が漏洩してしまうケースです。

また、機密性の高い顧客情報や仕様書が外部に流出してしまう事例も報告されています。

情報漏洩は企業の信頼を大きく損ねるだけでなく、法的責任や損害賠償のリスクも伴います。

オフショア開発では物理的な距離があるため、セキュリティ管理の実態が見えにくく、契約上の守秘義務条項だけでは不十分なケースが少なくありません。

物理的な距離がある分、定期的な確認をいつも以上に念入りに行い、セキュリティなどのさまざまな部分を把握しておくことが重要です。

開発予算を超えてしまう

当初の見積もりを大幅に超過し、追加費用が膨らんでいくケースです。

例えば、仕様変更のたびに追加料金が発生する、品質問題の修正対応に予定外のコストがかかる、コミュニケーションコストが想定以上に大きいといった理由で予算オーバーが発生します。

特に「オフショア開発はコストが安い」という先入観だけで始めた場合、隠れたコストを見落としがちです。

ブリッジSEの人件費、頻繁な出張費用、品質管理のための追加リソースなどを含めると、結果的に国内開発と変わらない、あるいはそれ以上のコストが必要になってしまうこともあります。

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オフショア開発が失敗する原因

失敗事例の背景には、いくつかの共通した根本的な原因が存在します。

ここでは、オフショア開発が失敗する原因を詳しく見ていきましょう。

現場とのコミュニケーション不足

オフショア開発における最大の課題がコミュニケーション不足です。

この問題は大きく二つの側面に分けられます。

言語・文化の壁による誤解

英語や現地の言葉でのやり取りにおいて、微妙なニュアンスが伝わらないことで誤解が生じることがあります。

例えば、日本語の「できるだけ早く」という表現が、現地では「急ぎではない」と解釈されてしまうケースがあります。

また、日本特有の「察する文化」や「空気を読む」といったコミュニケーションスタイルは、海外では通用しません。

さらに、文化的な違いも大きな障壁となります。

日本では問題があっても直接指摘せず遠回しに伝える傾向がありますが、多くの国では明確な指示を好みます。

このギャップにより、日本側は「問題を伝えたつもり」でも、相手には「特に問題ない」と受け取られてしまうのです。

報告・連絡・相談から進捗管理ができていない

日本企業では「報・連・相」が基本とされますが、この文化が海外の開発チームに浸透していないケースが多く見られます。

この結果、問題が発生しても報告が上がってこない、進捗状況が見えない、質問や相談がないまま独自の判断で進めてしまうといった事態が発生します。

特に「悪い報告をしにくい」という心理的な障壁が存在する場合、問題が深刻化してから初めて発覚することもあります。

また、時差の問題でリアルタイムのコミュニケーションが取りにくく、メールやチャットでのやり取りだけでは細かいニュアンスが伝わりにくいという課題もあります。

このため、オンラインなどで会話をしながら進捗状況を確認することが必要です。

要件定義・仕様変更の曖昧さ

システム開発の上流工程における曖昧さは、オフショア開発において致命的な問題を引き起こします。

不明確な要件定義により認識がズレる

要件定義書に記載されている内容が抽象的であったり、画面イメージや処理フローが不足していたりすると、開発チームは独自の解釈で実装を進めざるを得ません。

例えば「使いやすい画面にする」という要件では、何をもって「使いやすい」とするのかが明確でなく、完成した画面が期待と大きく異なる結果になりかねません。

また、業務フローや業界特有の商習慣についての説明が不足していると、システムとして機能していても実務では使えないものになってしまいます。

日本の商習慣を前提とした要件を、その背景を説明せずに伝えても現地の開発チームには理解できないので注意しましょう。

頻繁な仕様変更への対応不足

開発途中での仕様変更は避けられない場合もありますが、頻繁な変更はオフショア開発において大きなリスクです。

仕様変更の影響範囲や優先度が明確に伝わらず、現地チームが混乱してしまうケースが多く見られます。

また、変更管理のプロセスが確立されていない場合、どの仕様が最新なのかわからなくなり、古い仕様で開発が進んでしまうこともあります。

さらに、仕様変更に伴う追加コストや納期への影響について、事前の合意がないまま進めてしまうと、後から大きなトラブルに発展します。

ベンダー選定のミス

オフショア開発の際にベンダー選定を誤ると、プロジェクト全体が失敗に終わるリスクが高くなります。

コストの安さだけを重視して選定した結果、現地の開発会社の技術力や品質管理の体制の見極めを怠ってしまうケースが典型的な失敗パターンです。

例えば、実績のない新興企業に発注したところ、経験豊富なエンジニアが不足していた、品質管理の仕組みが整っていなかった、プロジェクトの管理能力が低かったといった問題が後から判明することがあります。

また、会社の規模が小さすぎて、急な人員の増強に対応できない、主要メンバーが退職したときの代替要員がいないといったリスクも存在します。

さらに、過去の開発実績や得意分野を十分に確認せずに発注すると、自社のプロジェクトに必要な技術スタックやドメイン知識を持たない会社に依頼してしまう可能性があります。

セキュリティ管理の甘さや契約の不備

開発を委託した現地のエンジニアがソースコードの一部を個人のブログやGitHubで公開してしまい情報漏洩が発生するなど、情報セキュリティに関する認識の甘さが問題です。

例えば、開発環境のアクセス権限の管理が不十分で、本来アクセスすべきでない人員が機密情報にアクセスできてしまう、データの取り扱いルールが明確に定められていない、退職者のアカウントが放置されているといった問題が見られます。

また、契約書の不備も、大きな失敗の原因です。

契約書において知的財産権の帰属や秘密保持の義務、損害賠償の範囲などが明確に規定されていないと、トラブル発生時に適切な対応ができません。

特に現地の法律や商習慣を理解せずに契約を結ぶと、日本の常識が通用しない場合があります。

現地の経済状況の把握不足

オフショア先の国の経済状況や人材市場の動向を把握していないと、想定外の問題が発生します。

例えば、経済成長に伴う人件費の上昇により、当初の見積もりよりもコストが高くなる、IT人材の需要が高まり優秀なエンジニアの確保が困難になる、離職率が高く開発メンバーの入れ替わりが激しいといった事態が起こります。

また、為替レートの変動リスクや、現地の政治情勢、インフラ状況なども考慮する必要があります。

これは、停電が頻繁に発生する、インターネット回線が不安定といった環境面の問題が、開発の進捗に影響を与えることもあるためです。

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失敗しないためのオフショア開発の進め方と成功のコツ

オフショア開発を成功させるためには、失敗につながる原因を踏まえた適切な対策が必要です。

ここでは、具体的な進め方と成功のコツをご紹介します。

要件定義を明確に行う

曖昧さを排除した詳細な要件定義書を作成することが、特に重要です。

テキストだけでなく、画面のワイヤーフレームや遷移図、処理フローチャート、ER図などの視覚的な資料を豊富に用意しましょう。

このとき、「できるだけ」「適切に」といった曖昧な表現は避け、具体的な数値や条件を明記することが重要です。

また、業務フローや業界特有のルールについても、背景から丁寧に説明することで、開発チームの理解を深めることができます。

可能であれば、実際の業務を動画で撮影して共有したり、デモストレーションを行ったりすることも効果的です。

要件定義の段階で、現地の開発チームを巻き込み、不明点をすべて解消しておくことで、後工程での手戻りを大幅に削減できます。

円滑なコミュニケーションを確立する

定期的なミーティングの仕組みを構築し、日次または週次で進捗確認の場を設けましょう。

ミーティングはビデオ会議ツールを活用して、できるだけ顔を見ながら話すことで、信頼関係の構築とコミュニケーションの質の向上が期待できます。

また、チャットツールやプロジェクト管理のツールを導入し、リアルタイムでの情報共有を促進することも重要です。

質問や相談がしやすい雰囲気を作り、すべての疑問を即座に解決できる環境を確保しましょう。

また、文化的な違いを理解し尊重する姿勢も意識しましょう。

現地の祝日や生活習慣を把握し、スケジュールに反映させることで、無理のない計画を立てることができます。

進捗と品質を確保する開発管理体制を構築する

進捗管理のツールを導入し、タスクの進捗状況を可視化しましょう。

このとき、単に「進行中」という状態だけでなく、具体的な作業内容と作業完了予定日を明確にすることが重要です。

週次での進捗報告会を実施し、計画と実績のズレを早期に発見して対策を講じる仕組みを作りましょう。

品質管理については、コードレビューの実施、単体テストや結合テストの基準を明確化、継続的インテグレーション(CI)の導入などを通じて、品質を担保する体制を整えます。

また、マイルストーンごとに成果物のレビューを行い、問題があれば早期に修正することで、大きな手戻りを防ぐことができます。

契約・法務面に注意しリスクヘッジを行う

契約書には知的財産権の帰属、秘密保持の義務、損害賠償の範囲、契約解除の条件などを明確に記載しましょう。

契約書を作成するときは、現地の法律に詳しい弁護士に相談し、日本の法律だけでなく現地の法律も考慮した契約書を作成することが重要です。

セキュリティ面では、情報の取り扱いに関するルールを文書化し、開発メンバー全員が正確に理解できている状態にします。

アクセス権限の管理を厳格に行い、不要になったアカウントは速やかに削除する運用を徹底しましょう。

また、定期的なセキュリティ監査を実施し、リスクを早期に発見することも効果的です。

現地のパートナーとの信頼関係構築の重要性

単なる発注者と受注者の関係ではなく、共にプロジェクトを成功させるパートナーとしての信頼関係を築くことが重要です。

信頼関係を築くために、定期的に現地を訪問し開発チームとの対面でのコミュニケーションを図りましょう。

実際に顔を合わせることで、メールやチャットでは得られない深い理解と信頼が生まれます。

また、現地チームの成果を適切に評価し、感謝の気持ちを伝えることも大切です。

文化的な背景を理解し、尊重する姿勢を示すことで、相手のモチベーションも高まります。

長期的な視点で関係を構築することが、プロジェクトの成功につながります。

オフショア開発会社を慎重に選定する

コストだけでなく、技術力、過去の実績、品質管理の体制、コミュニケーション能力などを総合的に評価して選定しましょう。

可能であれば、複数の候補企業と面談し、実際の開発チームのメンバーとも話をすることをおすすめします。

過去のクライアントからの評判や、類似プロジェクトの実績を確認することも重要です。

トライアル期間を設けて、小規模なプロジェクトから始めることで、本格的な発注前にベンダーの実力を見極めることができます。

また、会社の財務状況や組織体制も確認しておきましょう。

経営が不安定な会社では、プロジェクトが進行している中での倒産リスクや、優秀な人材の流出リスクがあります。

ブリッジSEを活用する

日本と現地の橋渡し役となるブリッジSEの存在は、オフショア開発の成功にとって重要です。

ブリッジSEには、両国の言語と文化を理解し、技術的な知識も豊富な人材を選定することが理想的です。

また、単なる通訳ではなく、要件の意図を理解し、現地チームに適切に伝達できる能力が求められます。

優秀なブリッジSEは、文化的な誤解を未然に防ぎ、コミュニケーションをスムーズにするだけでなく、進捗管理や品質管理においても重要な役割を果たします。

ブリッジSEの人件費を惜しむことなく、適切な人材を確保することが、結果的にプロジェクト全体のコスト削減につながります。

オフショア開発に失敗したら、システム引継ぎ会社に依頼するという手もある

すでにオフショア開発が失敗してしまい、プロジェクトが中止している場合でも、諦める必要はありません。

システム引継ぎを専門とする会社に依頼することで、状況を立て直すことが可能です。

オフショア開発の失敗で多いのが、中途半端な状態で開発が止まってしまい、ソースコードだけが残されているケースです。

また、当初の開発会社との関係が悪化し、十分な引継ぎがないまま契約終了となることも少なくありません。

このような場合、新たな開発会社に引継ごうとしても、既存のソースコードが読めない、仕様書が不足している、設計思想が不明といった理由で断られることがあります。

しかし、当社フェアシステムはシステム引継ぎを専門としており、このような未完成システムにも対応することが可能です。

例えば、ドキュメントが不足している状態でもソースコードを解析して仕様を読み解き、システムの全体像を把握することができます。

そのうえで、不足している機能の開発や、品質問題の修正、仕様変更への対応などを行います。

また、将来的なメンテナンスを考慮して、ドキュメントの整備や、コードのリファクタリングも実施することが可能です。

まとめ

オフショア開発の失敗には、コミュニケーション不足、要件定義の曖昧さ、ベンダー選定のミス、セキュリティ管理の甘さなど、共通した原因が存在します。

これらの課題に対して、明確な要件定義、円滑なコミュニケーション体制の構築、適切な開発管理、慎重なベンダー選定、ブリッジSEの活用などの対策を講じることで、失敗のリスクを大幅に低減できます。

すでにオフショア開発に失敗している場合でも、フェアシステムであれば他社のコードを読み解き、再構築することが可能です。

外部委託を考えているけれど不安な方や未完成システムをお持ちの方は、ぜひ以下から当社フェアシステムにご相談ください。

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