CMS移行を行う手順を解説!最適なタイミングや注意点について解説
CMS(Contents Management System)とは、Webサイトのコンテンツを一元管理するシステムのことです。
HTMLやCSSなどの知識がなくてもコンテンツを編集できるため、多くの企業がCMSを利用しています。
CMS移行は、現在使用しているCMSから別のCMSに切り替える作業のことを指します。
そんな中、
「CMS移行はどのような手順で進めれば良いの?」
「CMS移行を実施するのに最適なタイミングとは?」
という疑問をお持ちではありませんか?
本記事では、そんな疑問の解決に役立つ内容を
・CMS移行が必要な理由や最適なタイミング
・CMS移行の手順や注意点
・CMS移行を外部委託するメリット
の順番に解説していきます。
CMS移行に初めて挑戦する企業の担当者は、基本的な知識を身に付けられるので、ぜひ参考にしてください。
目次
CMS移行が必要な理由は?
まず初めに、どうしてCMS移行が必要になるのでしょうか?
下記2点に分けて紹介します。
- ・現在のCMSから他社のCMSに移行する場合
- ・現在CMSを導入していないが、これからCMSを導入する場合
1.現在のCMSから他社のCMSに移行する場合
現在のCMSから別のCMSに切り替える主な理由としては、以下の点が挙げられます。
- ・機能の不足と拡張性の限界を感じている
- ・パフォーマンス・ページスピードに問題がある
- ・サポートとセキュリティに懸念がある
現在利用しているCMSが、ビジネスの成長や変化に対応できなくなっている場合に移行が必要となります。
特に、予約管理や問い合わせ管理など必要な機能が不足している、またはWebサイトの表示速度が遅くユーザー体験を損ねている、あるいは利用中のCMSのセキュリティリスクが高まっている、または提供元のサポート体制に不安があるといった状況が移行を検討する主な動機となります。
2. 現在CMSを導入していないが、これからCMSを導入する場合
現在CMSを導入しておらず、新たに導入を検討する主な理由としては、以下の点が挙げられます。
- ・効率的なコンテンツ管理をしたい
- ・検索エンジンの最適化(SEO)を図りたい
専門知識がなくても、CMSを導入することでWebサイトの更新や新規ページ追加が直感的かつ容易に行えるようになり、コンテンツ管理の業務効率を大幅に改善できます。
また、多くのCMSに搭載されているSEO対策機能を活用することで、検索エンジンでの評価向上や、HTMLの記述ミスによる評価低下リスクを減らし、Webサイトの集客力向上を目指すことができます。
CMSを移行する際の手順
CMSを移行する際の手順は、以下の通りです。
- ・現状の分析と評価を行う
- ・新しいCMSを選定する
- ・コンテンツを整理する
- ・Webサイトのデザインを決める
- ・URLは変更せずに移行する
- ・テストと公開を行う
それぞれについて解説します。
現状の分析と評価を行う
まずは現在の状況を把握することから始めましょう。
課題をリストアップし、改善すべきポイントを明らかにします。
例えば、GoogleのPageSpeed Insightsでページの表示速度を測定したり、Google Analyticsなどのアクセス解析データからユーザーの離脱率が高いページや経路を特定します。
さらに、実際にCMSを使用する編集者や運用担当者のフィードバックを収集し、「編集画面の使いにくさ」や「機能の不足」といった管理上の課題も洗い出します。
その結果、「ページの表示速度が遅い」のであれば「ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上」、「編集画面が使いにくい」のであれば「管理の効率化」といった具体的な目的が明確になります。
その結果、ページの表示速度が遅いのであれば、「ユーザーエクスペリエンスの向上」、編集画面が使いにくいのであれば「管理の効率化」といった目的が明確になります。
課題が明確化されることで、CMS移行を実施する「目的」が明確になり、新しいCMSを選定する際に役立つのです。
新しいCMSを選定する
CMSを移行する目的が明確になったら、次は新しく導入するCMSを選定します。
選定時は、以下の機能要件と非機能要件の両面から、複数のCMSをピックアップし、比較検討しましょう。
| 要件 | 検討すべき主な視点 |
|---|---|
| 機能要件 | ・必要な機能(予約管理、Eコマース連携など)は揃っているか? ・APIによる外部連携は容易か? ・多言語対応やワークフロー管理機能の有無 |
| 非機能要件 | ・導入コストとランニングコスト(ライセンス料、サーバー代) ・セキュリティ対策(脆弱性対応、パッチ適用頻度) ・提供元のサポート体制、拡張性と将来性(ロードマップ) |
導入コストが予算内であることはもちろん、サポート体制に問題がないか、そして将来的な事業拡大に耐えうる拡張性があるかを幅広い視点から見極めることが大切です。
特に、オープンソースCMSの場合は、自社でのセキュリティ管理体制やカスタマイズできる技術者の有無も重要な選定基準となります。
コンテンツを整理する
移行作業を行う前に、コンテンツを整理しておきましょう。
不要なコンテンツ(例:古くなったお知らせ、アクセスがないページ)が溜まっている場合は、このタイミングで削除または非公開とすることで、余計な移行作業(データコンバート)のコストと時間を削減できます。
また、トラブルが発生した場合に備えて、既存のWebサイト全体(コンテンツデータ、画像ファイル、データベース)のフルバックアップを事前に取得しておくことが、データ保全の観点から非常に重要です。
これにより、万一データ移行に失敗した場合でも、重要なデータを復元できるため、リスクを最小限に抑えることができます。
Webサイトのデザインを決める
サイトリニューアルとCMS移行を並行する場合、新しいCMSの機能と技術的制約を踏まえながら、新たなWebサイトのデザインを事前に確定させておくことで、後の実装がスムーズになります。
デザインは、単に見た目の良さだけでなく、企業やブランド、商品・サービスのイメージにあったトーン&マナーを保つことが求められます。
加えて、ユーザーが迷わずに目的の情報にたどり着けるよう、UI(ユーザーインターフェース)/UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインを深く考慮し、モバイルフレンドリーなレスポンシブデザインを基本とすることが必須でしょう。
URLは変更せずに移行する
CMS移行において最も慎重に行うべき作業の一つが、URL構造の管理です。
可能であれば、Webサイトの既存のURLは変更しないで移行作業を進めるべきです。
URLを変更してしまうと、既存のSEO評価や被リンク資産に影響が出るだけでなく、外部からの参照リンクやブックマークが無効になるリンク切れが発生し、ユーザー体験を著しく損なう可能性があります。
やむを得ずURLを変更する場合は、旧URLから新URLへ永続的な転送設定(301リダイレクト)を確実に行うためのリダイレクトマップを事前に作成し、実装計画に組み込む必要があります。
このマップには、すべての旧URLとそれに対応する新URLを漏れなく記述することが求められます。
下記の記事では、ホームページをリニューアルし、ドメインをそのまま引継ぐ方法について紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:ホームページをリニューアルしてドメインをそのまま引継ぐ方法
テストと公開を行う
CMS移行の作業が完了したら、新環境でのWebサイトを一般公開する前に、徹底的なテストを行うことが不可欠です。
公開前テストでは、以下の観点から問題点がないかを入念に確認します。
- ・機能テスト
フォーム送信、会員ログイン、検索機能など、主要機能が全て動作するか。 - ・コンテンツ検証
画像の表示崩れ、誤字脱字、内部リンク・外部リンクの断絶(リンク切れ)がないか。 - ・デザイン検証
異なるブラウザ(Chrome、Safariなど)やデバイス(PC、 スマホ)で表示崩れがないか。 - ・SEO検証
301リダイレクトが正しく機能しているか、メタタグ、タイトルが意図通りに設定されているか。
テストで問題がないことを確認したら、トラフィックが少ない時間帯(例:オフシーズンや深夜)を選んでWebサイトを公開します。
公開後も、アクセス解析ツールやログ監視システムを用いて数日間は継続的に監視し、万が一のトラブルが発生した際にすぐに対応できるように担当者の連絡体制やロールバック手順をチェックしておくと安心です。
CMSを移行するのに適しているタイミングは?
それでは、どのようなタイミングでサイトリニューアルを実行すべきなのでしょうか?
サイトリニューアルをするとき
サイトリニューアルするタイミングで、CMS移行も検討すると良いでしょう。
デザインの変更と同時にCMS移行の作業を進めることで、プロジェクトを管理しやすくなるためです。
「どのようなデザインのWebサイトを構築したいか」という点も、CMSを選定する際の基準の一つとなります。
組織の成長やビジネスモデルが変化したとき
組織やビジネスモデルに変化があった場合、CMS移行に最適なタイミングです。
例えば、組織が成長しユーザーが急増した場合、規模の大きいWebサイト構築に向いているCMSを選ぶべきでしょう。
また、ビジネスモデルが変わり、新たなWebサイトを制作する際などは、CMS移行も検討すると良いでしょう。
現在のCMSのサポートが終了したとき
CMS移行に最適なタイミングとして、現在使用しているCMSのサポートが終了するタイミングが挙げられます。
CMSのサポートが終了する場合、安全な環境でCMSを使用し続けることは難しいため、システムのアップデート、もしくはCMS移行の作業を行わなくてはいけません。
予算やリソースが確保できたとき
Webサイト運用の予算、もしくはリソースが確保できた際に、CMSをアップグレードするケースも見受けられます。
より機能性に優れているCMSや、セキュリティに強いCMSなど、現行のCMSよりも優れたサービスに切り替えるケースなどです。
トラフィックが少ないとき
トラフィックとは、訪問者数や訪問回数、ページビュー数などのデータのことです。
トラフィックが少ないタイミングは、CMS移行の作業を実行すべきタイミングと言えます。
ユーザーの訪問数が少ないタイミングで作業を行えば、ユーザーに与える影響を最小限に抑えられるためです。
例えば、オフシーズンや夜間など、トラフィックが少ないタイミングで実行すると良いでしょう。
CMS移行を失敗しないためのポイント
それでは、CMS移行で失敗しないためにはどうすれば良いのでしょうか?
以下で、CMS移行の注意点を確認しておきましょう。
SEO対策やユーザー行動分析に新しいCMSに移行する
新しいCMSへの移行は、SEO対策やユーザー行動分析の改善に大きな効果をもたらします。
まず、最新のSEO機能を備えたCMSを選ぶことで、検索エンジンでのランキング向上が期待できます。
URL構造やメタタグの管理がしやすくなり、リダイレクト設定も簡単に行えます。
さらに、ユーザー行動分析ツールとの統合がスムーズに行えるCMSを選ぶことで、ユーザーの動きを詳細に追跡し、データに基づいた改善が可能です。
これにより、ユーザー体験を向上させ、SEO効果を最大化できるでしょう。
CMS移行の際のセキュリティ対策をしっかりとしておく
データ移行中にデータが漏洩しないように暗号化を施します。
また、アクセス権限を厳格に管理し、不必要なユーザー権限を削除しましょう。
さらに、新しいCMSに最新のセキュリティパッチが適用されていることを確認します。
移行後は、定期的にセキュリティチェックを行い、不正アクセスの監視を強化しましょう。
これにより、移行中および移行後のデータとサイトの安全性を確保することが可能です。
リンク切れのチェックを行う
リンク切れ(デッドリンク)とは、Webサイトに設置されたリンクが無効になっている状態のことです。
CMSを移行する際は、旧サイトから新サイトにリダイレクトするように設定します。
しかし、リダイレクトが上手くいかないとユーザビリティが低下し、SEOの評価を下げる原因の一つとなります。
そのため、移行作業が完了したら、リンク切れがないかをチェックしましょう。
事前にバックアップを取る
CMS移行の際は、Webサイトのバックアップをしっかりと取っておきましょう。
バックアップを取っておくことで、トラブル発生時も重要なデータを復元できるためです。
重要データが損なわれてしまうと、一からWebサイトを構築する必要が生じてしまいます。
プラグインを使用するなど、バックアップの取得方法についても確認しておくと良いでしょう。
外注の検討を行う
CMS移行は、専門的な知識、技術力、そして経験が求められるプロジェクトです。
社内のリソースや専門知識が不足している場合は、外部委託を検討しましょう。
外部委託先を選定する際は、単に費用が安いかどうかで判断するのではなく、以下の金額以外の重要性を重視すべきです。
- ・豊富な実績と信頼性
CMS移行の経験が豊富で、類似サイトの移行実績や案件リピート率が高いなど、お客様からの高い評価と信頼を得ている会社を選びましょう。 - ・技術的な対応力
データ移行だけでなく、サーバー環境のバージョンアップや、移行後のセキュリティ強化といった、インフラレベルの技術的な課題にも対応できる総合力を確認しましょう。 - ・リスク管理能力
移行中のデータ保全やリダイレクト計画など、トラブルを未然に防ぐための緻密な計画と管理体制を持っているかを確認しましょう。
CMS移行に係る費用は?
CMS移行にかかる費用は、Webサイトの規模、カスタマイズの複雑さ、保有コンテンツ量、そして外部委託先の技術レベルによって大きく変動します。
| サイト規模 | 費用の目安 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 小規模サイト | 10万円~30万円程度 | ページ数が少なく、シンプルな構成のコーポレートサイトなど。主にデザインテンプレートの適用とコンテンツの移設が中心。 |
| 中規模サイト | 150万円~200万円程度 | 一般的なコーポレートサイトや情報提供サイト。一部カスタム機能やデータベース移行が発生するケース。 |
| 大規模サイト | 300万円~1,000万円以上 | 高度なカスタマイズ、外部システム(基幹システム、CRMなど)との複雑な連携、大量のコンテンツ・データベース移行が必要なECサイトやポータルサイト。 |
一般的なコーポレートサイトであっても、オリジナルのデザインを完全に再現したり、複雑なデータベースの組み換えが必要な場合、費用は高くなる傾向にあります。
しかし、前述の通り、費用対効果を考える際には、安価な業者に依頼して失敗し、SEO評価を失ったり、セキュリティリスクを抱えたりすることの将来的な損失(機会損失や改修コスト)を考慮に入れるべきです。
信頼と実績のあるパートナーに依頼することで、リスクを最小限に抑え、移行後の安定した運用とビジネス成長への貢献を最大化することができるでしょう。
CMSを外部委託すると非常に安心
CMS移行には手間がかかるだけでなく、トラブルが発生する可能性もあります。
CMS移行の作業に慣れていない場合は、外部委託も検討すると良いでしょう。
以下で、外部委託するメリットを紹介します。
CMS移行を外部委託するメリット
CMS移行を外部委託するメリットとして、以下の3点が挙げられるでしょう。
- ・作業を効率化させることができる
- ・トラブル発生時も対応してくれる
- ・最新技術やトレンドに基づいた提案を受けることができる
特に、社内に専門知識を有した人材が不足している場合、リサーチの時間も含めると多大な時間が必要になる可能性が高いです。
また、トラブル発生時も対応してくれるため、技術的な問題や不具合が発生した際には迅速に解決策を提供してもらえることも大きなメリットです。
これにより、業務の停滞を防ぎ、スムーズな移行が実現するでしょう。
CMS移行をフェアシステムに依頼するメリット
CMS移行を外部に委託するメリットは多数ありますが、その中でも、CMS移行やシステム引継ぎなどの代行サービスを展開するフェアシステムに依頼するメリットは下記が挙げられます。
- ・CMS移行の経験が豊富
- ・セキュリティの強化(システムのバージョンアップやサーバーのバージョンアップなど)にも対応している
- ・案件リピート率は8割を超えており、お客様から高い評価を得ている
移行を行った実績により、移行作業中のリスクを最小限に抑え、スムーズに移行を行います。
これからCMS移行を行うが、移行に少しでも不安を抱えている人はぜひ一度フェアシステムにご相談ください。
