システム引継ぎに必要な資料やその書き方のポイントについて解説

・「システムを引き継ぐ際の資料には何を記載すれば良いのか?」
・「後任に適切に情報を伝えるのはどうしたら良いのか?」
という疑問をお持ちではありませんか?

本記事では、そんな疑問の解決に役立つ内容を
・エンジニアが引継ぎ資料に記載すべき項目
・エンジニアの引継ぎ資料を作成するときの注意点
・エンジニアが引継ぎ資料の作成を進める手順
の順番に解説していきます。

システムの引継ぎで資料を作成する際には役立つ記事になっていますので、ぜひご覧ください。

エンジニアが引継ぎ資料に記載すべき項目

システムの引継ぎとは、一般的に「自社で利用しているシステムの管轄・管理を移管するプロセス」のことです。

この時に作成する資料の説明をしていきますが、そもそものシステム引継ぎに関してはシステム引継ぎのページを参照してください。

早速ですが、そのシステムの引継ぎの際に記載すべき項目を確認していきましょう。

システム概要や導入目的

システム導入の経緯や目的などがわかれば その内容から記載していくのが良いと思います。導入の目的がわかれば、細かい機能を理解するのにとても役に立ちます。

またシステムの概要はできれば1枚の図形式にまとめ俯瞰図的な使い方ができるようにすることをお勧めします。

業務要件

システムで実現できているのは、業務の中の「ある部分のみ」ということが非常に多くあります。

システムだけをみて要件を整理したら一部分すぎて全体を見失ってしまうということがよくあります。

引継ぎ時には、システムの詳細に集中しすぎて業務要件の伝達が見落とされがちです。

そのため、どの業務でどのようにシステムが使用されているかを明確にし、全体を俯瞰して整理することが重要です。

システムの説明をする際には、それがどの業務に組み込まれているかを示すようにしましょう。

業務の流れと手順

業務要件のところにも記載しましたが、システムはある業務の一部であることがあります。

システムを中心とした場合は前工程の業務、後工程の業務とになりますが、その業務がどのようなもので、そしてどの手順で流れていくのかを記載することでそのシステム部分の役割がよく見えてくる、わかりやすいということがよくあります。

現状課題

現在のシステムが全く問題ないということはないと思います。

またその問題が担当している期間中で解決できるものばかりではないはずです。

後任に課題を引き継ぐときはその課題を列挙するだけではなく、その課題のいきさつ及び検討していたことや流れをもまとめておいてください。

検討していたことを記載しないと後任の人が全く同じ内容を検討して同じ結論になることが多いので、ボツになったことも検討したこと及びボツになったことや理由も含めて記載するようにしましょう。

社内外の関係者

システムの引継ぎ書には、関係者の連絡先についてもまとめておきましょう。

またその関係者の説明に各担当分野及び連絡先(電話番号やメールアドレスなど)を記載しておきましょう。

何か問題があった時に、そのトラブルの内容によって、連絡すべき関係者が異なるケースもあるため、その点についても記載しておくことが大切です

イレギュラーな事態への対応方法

システムを継続的に使用していく限りにおいてはイレギュラーな事態は避けて通れません。

普段からどのように気をつけていても内部要因のみならず、様々な外部要因によって対応をしないといけないことが必ずでてきます。

そうした時にあわてないようにするためにどういう部分のイレギュラーは誰にお願いして、社内のエスカレーションはどのようにするのか 決めておく必要があります。

ある一定のルールさえ決めておけば、たとえイレギュラーが起こったとしてもあわてずに対応することができるようになります。

資料の保管場所・参照先

またあわせて資料の保管場所や参照先もまとめておきましょう。

上記のようにイレギュラーになった時は、いろいろな資料を見返します。

代表的なシステム資料は

  • ・システムの仕様書(システムの動作確認や挙動理解)
  • ・テスト仕様書(過去にテストした時は大丈夫だったか)
  • ・契約書(契約条件としてどこまで対応してくれるのか)

になり普段であれば上記だけで事足りるとは思います。

ただ、イレギュラーの時には普段見ていない様々な資料を見返したりするので、すぐにでも見つけられるように保管場所を記載しておくことはとても重要なことになります。

エンジニアの引継ぎ資料を作成するときの注意点

上記で引継ぎ書に記載すべき事項を洗い出しました。

この項目では実際に引継ぎ書を記載するときに気をつけた方が良いポイントを列挙致します。

文章だけで作成しない

引継ぎ書は読んだ相手に適切に理解してもらうということが目的です。

引継ぎ書はそんなに簡単なものではないので、文章だけで的確に相手に伝わることはありません。

特にシステム概要図、相関図など適切に図表を用いた方がわかりやすい箇所は多々あります。

相手に伝えるものであるということを理解し、わかりやすい伝わりやすい書き方を工夫しましょう。

手順だけの引き継ぎ資料を作成しない

手順だけ書いてあっても、なぜそれをするのかが分からなければ、イレギュラーな事態の時にその手順が必要なのか不要なのかが判断できません。

イレギュラーな事態にも、主体的にその引継いだ担当者が判断できるように、その手順はなぜ必要なのか、どういう目的なのかなどの付帯情報もあわせて記載をしましょう。

すべての関係者を洗い出す

前段の社内外の関係者を洗いだすところである程度の必要な関係者は分かると思いますが、それでも漏れている可能性があるのが、無料で利用しているサービスになります。

有料のサービスは毎月だったり毎年だったり請求書がくるので、担当者の洗い出しの際に漏れる可能性は低いのですが、無料のサービスの場合だと先方から何か連絡がくることはないので、洗い出しの際に抜けることが非常に多いです。

無料のサービスは突然仕様変更になったり、サービスが中止になったりするので、洗い出す際には気をつけておきましょう。

ドキュメントに記載がない口頭だけでの説明はしない

基本的なことはドキュメントにまとめても、担当者に説明するときには口頭で行うと思います。

その時、引継ぎ元担当者側(引継ぎ書作成側)は口頭で補足した情報はそんなに重要ではないと思っていても、引継ぎ先の担当者からみれば重要事項であることもよくあります。

また引継ぎ先担当者が口頭で言った内容をその場ですべて理解できることは少ないので、どのような細かいことでもドキュメントとして残し、後で引継ぎ先担当者が見直しきるようにしておくと良いでしょう。

トラブルが起きやすい箇所はチェックする

引継ぎ書は膨大になった場合、引継ぎ先担当者もすべてをすべて短期間で理解することは難しいことが多いです。

時間も限りある中で特にチェックするのはトラブルが起こりやすい箇所となります。

重点的に確認しやすくするためにもトラブルが起きやすい箇所はチェックをして重点的に引継ぐようにしてください。

エンジニアが引き継ぎ資料の作成を進める手順

先の項目では引継ぎ書の内容や作成するときの注意点を記載しました。

上記を意識したうえで実際に作成を進めるときにも注意点があります。

引継ぎの際に時間がたっぷりあることは稀なので、要領よく限られた時間を有効的に使用するためにも、引継ぎ書の作成を進める手順も下記に記載しておきます。

業務の全体像を把握する

おさらいとなりますが、全体像は適切に把握していますでしょうか。

もしまだ把握していないというのであれば、書き出す前にこの全体像の把握がとても重要です。

全体像を把握してなく引継ぎ書を作成しても、引継ぎ先の人が正しく理解できません。

本当に充分把握しているのか、先に挙げた項目は網羅しているのかもう一度確認してください。

引継ぎのスケジュールを組む

さて全体像が把握できた段階でシステム引継ぎのスケジュール自体の作成をしてください。

意外に時間がなかったり、急いで対応しないといけないことがわかったりします。

また引継ぎ先は別の業務を行っていることも多々あります。別の業務のスケジュール(月末は繁忙期で忙しいなど)を考慮して無理のない実現可能なスケジュールの作成を行いましょう。

引継ぎ書を作成する

さてやっと引継ぎ書を作成する段階です。

夏休みの読書感想文の宿題でもそうですが、いきなり書き始めるということはしないでください。

章立てをはっきりしないで書いてしまうととても読みにくいわかりにくい資料になります。

まずは章立てをはっきりさせて、その章ごとに順を追って書いていってください。

この章だてですが、できれば大項目中項目小項目まで先に書いていくと、記載していくうちに記載内容が変わったということはなくなると思います。

またわかりやすいということにも考慮し今まで集めた情報を図や表などを適切に交えながら記載していってください。

引継ぎを行う

引継ぎ書が完成したら、スケジュールにそって実際の引継ぎを行っていきましょう。

ただスケジュール通りにいかないや引継ぎ書に漏れがあるなどはよく発生します。

スケジュール通り当初予定どおりには進まないことも考慮して、スケジュールや引継ぎ書を常にバージョンアップさせていく考えのもと、実際の引継ぎを行っていきましょう。

システムの引き継ぎならフェアシステムへ

さて、今回はシステムを引継ぐ際のドキュメントにフォーカスしてきました。

ただ実際にはそんな時間がない場合やシステム自体の知識がないので通常の引継ぎより

時間がかかりそうという場合は、外部ベンダーにお願いするのも一つの方法です。

フェアシステムでは引継ぎに必要な最低限の情報を渡せば、あとはプロの人間がシステム解析及び今後の対応を行っていってくれます。

引継ぎ書をもれなく作るのは非常に工数がかかるのと他人の人が作成したシステムを理解するには引継ぎ先の情報リテラシーにも大きく影響しますので、難しいと思った時はフェアシステムにお声がけ頂ければと思います。

>>システム引継ぎのお悩みはシステムトラブル110番